しょうじきしんどい

海老で鯛を釣ろうと思う。いや、海老はもったいないからミミズでいいや。

とんねるず石橋貴明に憧れて

 

僕は毎週木曜日の20時には必ずTBSをつけて「うたばん」を見ていた。

 

僕がうたばんと出会ったのは中学1年生くらいの頃だったと思う。

 

キッカケは最新の音楽情報を仕入れないと、学校で友達との会話についていけないのでテレビ番組を見て勉強しようと思ったからだ。

 

結果的に、この番組はトークの時間が番組全体の2/3を占めており、ヒットチャートのランキングコーナーも無かったので、音楽の最新情報はあまり入って来なかった。

 

しかし、この番組の良いところは、雑誌のインタビューでは知り得ない、ステージの外にいるアーティストたちの新しい顔を見ることができた点だ。

 

そのようなアーティストたちの新しい一面を見るためには、圧倒的なMCの力が求められる。

 

特に、石橋貴明トークではビッグゲストに対しても、歯に衣着せぬぶっちゃけトークを展開していく。

 

うたばんで頻繁に出てくるゲストは、「モーニング娘。」、「SMAP」、「ELT」、「松田聖子」、「嵐」あたりだったと思うのだが、モー娘の保田、ELTのいっくん、嵐の大野あたりは石橋貴明中居正広のコンビに調理されてテレビ界において特殊なポジションを築けたと思う。 

 

仮に、今のアイドル界をリードする乃木坂、欅坂あたりがうたばんに出ていたとしたら、一体どんな風な進化を遂げていたのか、まったく想像できない。

 

当時の僕は石橋貴明に憧れていた。

 

貴さんがルールや規定概念を全てぶっ壊して、画面の中で怪獣みたいに暴れまわる破天荒な存在になりたかった。

 

(さすがに1台1600万円のテレビカメラを本当にぶっ壊したときは、あの貴さんも顔面蒼白になったみたいだが。)

   

実際の僕は、特に面白くもない普通の人にしかなれなかったけど、貴さんは僕の中で永遠にスターだ。

 

僕は古臭いあの芸風が大好きで、「ザギン(銀座)でシースー(寿司)」のような業界用語の乱用や、石田Pのモノマネ、一部の人しか知らない野球選手の例えなど、僕らの知らない世界の常識のようなものを見せてくれる。

 

僕は録画したうたばんの映像を何回も何回も見直して、面白いシーンをノートに書き留めて、次の日学校で披露しようと画策していた。

 

今でも実家のハードディスクには6年間分のうたばんが収録されているので、たまに実家に帰った時は無作為に再生して昔の芸風をインプットしている。

 

しかし、僕の好きだった「うたばん」は2010年に放送を終了してしまった。

 

それでも、「とんねるずのみなさんのおかげでした」が残っていたので、僕の好きな貴さんを見れなくなることはなかったのだが、2018年に同番組も29年の歴史に幕を閉じてしまった。

 

とんねるずのみなさんのおかげでした」が放送終了する背景には、貴さん人気の低迷と制作費問題が挙げられる。

 

2016年の「嫌いな芸人ランキング」では江頭2:50を差し置いて初の1位になってしまった。

 

嫌いな理由としては、「キャラクターが悪い」という意見が80%を占めていて、お山の大将のようなキャラクターや、古臭い芸風が視聴者にマッチしなかったのだろう。

 

特にこの頃は一般的に「コンプライアンス」というワードが普及し始めたことも大きな要因の1つだと思う。

 

また、ギャラも相当かかるようで、とんねるず2人のギャラは1回で1000万円以上とも言われている。

 

さらに、「みなさんのおかげでした」の制作費は1回で5000万円らしい。

 

フジテレビに勤務している友人の話によると、テレビ業界全体が衰退に伴い、広告収入も減少している中で、とんねるずのような大物は貴重な制作費を浪費する目の上のたんこぶのような存在らしい。

 

それを聞いてだいぶ哀しかった。

 

そうして貴さんのメディア露出は、毎週月曜日23時からの「石橋貴明のたいむとんねる」のみになってしまった。

 

最近は、貴さんの良いニュースも悪いニュースも聞かないし、そもそもメディア露出がそんなに多くない。

 

しかし、 うたばんのコンビがTBSで10年ぶりに復活するとのことだ。

 

記事によると、貴さんはもじもじくんの装いで舞台から客席まで縦横無尽に駆け回ったという。

 

キャラと制作費の両方があまり大きすぎてテレビ業界を捨てられた存在が再びステージに戻ってきたことに、僕は嬉しさを隠せない。

 

僕は「とんねるずのみなさんんおかげでした」が終了してから、ほとんどテレビを見なくなったのだが、久しぶりにテレビをつけてみようと思う。

 

11月7日の放送で、再び暴れまくる貴さんを見れるのが楽しみだ。