しょうじきしんどい

海老で鯛を釣ろうと思う。いや、海老はもったいないからミミズでいいや。

パイレーツ・オブ・サラリーマン

◾️夢見る少年

 

僕がまだ5歳くらいの時、家族で京都旅行に行った。

 

母から聞いた話なのだが、東海道新幹線の窓側の席に座っていた僕は、東京駅から見える超高層ビル群を見て母に将来を語ったらしい。

 

「お母さん、僕はあの光ってるビルの1番上で働くよ。」

 

釈迦は生まれた直後に7歩歩いて右手で天を指し、左手で地をさして天上天下唯我独尊」と言ったらしい。

 

釈迦からは若干遅れをとったが、これに匹敵するくらい末恐ろしい子であることは間違いない。

 

その言葉を聞いた母はたいそう喜んだらしく、車内販売のお姉さんを呼び止めてコアラのマーチを買ってくれたらしい。

 

のんきにコアラのマーチを食べていた僕は、将来ピカピカ高層ビル群の1個隣にある年季の入ったビルの3階で働くことをまだ知らない。

 

誰もが一度は夢を見る。

 

男の子はかっこいいヒーローに、女の子はかわいいお姫様になりたいと一度は口にするだろう。

 

しかし、どこか冷めていた僕は、夢を叶えられる人なんて一握りしかいないと気づくまでそう時間は要らなかった。

 

残念ながら、その後も僕は大きな野心を持って世界を救ったり、旅をしたりすることは夢に見ることはなく、ただなんとなく生きてきた。

 

■儚い夢

 

そんな僕だが、実はちょっとした夢がある。

 

それは、海賊になることだ。

 

初めて海賊に興味を持ったのは、映画ドラえもん「南海大冒険」のキャプテン・キッドを見た時だ。

  

がっちりとした身体で幾多の修羅場を乗り切ってきた彼は右目に眼帯をしている。

 

一般的に考えられている海賊は、酒好きで金と女が大好きだ。

 

そして、残虐で平気で人を殺すような人たちのことだ。

 

しかし、キャプテン・キッドは違う。

 

この映画の中では同じ海賊であり父の身を案ずるベティに気を使ったり、最後のシーンではドラえもんの顔が描かれた帆を掲げ、「あばよ!キャプテンドラえもん!」と見送るのだ。

 

そこで僕は初めて海賊ってちょっと乱暴だけど実はいいやつなんじゃないかと思った。

 

次に僕が海賊に憧れたキッカケは、「パイレーツオブカリビアン」でジョニー・デップが演じるジャック・スパロウを見た時だ。

  

こっちのキャプテンは、平気で人を裏切るし、絵に描いたような海賊なのだが、そこらの海賊とは違ってりカリスマ性がある。

 

力でねじ伏せるのではなく、上手い立ち回りとコミカルな動きで毎回なんとかなってしまう天然頭脳派プレーヤーだ。

 

しかし、ここぞのタイミングでは漢気を見せる一面を持っていたりする。

 

船員たちがヨーホーヨーホーと歌いながら、ブラックパール号が大海原を冒険し、行く手を阻む海軍やデイヴィジョーンズを倒していく姿はとてもかっこいい。

 

勿論、スパロウはかっこいいのだが、途中で海賊の仲間入りをするウィル・ターナー、意外と娘思いのバルボッサも人間味に溢れていて僕が好きなキャラクターのうちの1人だ。

 

とにかく、海賊には色々なタイプがいるが、基本的に自由で、自身の欲望に貪欲な人の集まりだ。

 

機会があれば是非とも僕も海賊になりたい。

 

■錨をあげよう

 

では、この現代において海賊になる為にはどうしたらいいだろうか。

 

本当に海賊になるとしたら、日本の近海はミサイルも飛んでくるし危なそうなので、ひとまず舞台は海外に移す必要がありそうだ。

 

行くとしたら、東南アジア周辺か、メキシコ、パナマあたり、いや、マダガスカル島周辺でも良さそうだ。

 

収入源として宝島を探すのはナンセンスだと思う。

 

僕ならエネルギー輸送船を狙う。

 

石油・天然ガスを輸送しているタンカーを襲撃して、エネルギー供給をストップさせることができれば、各方面からお金をゲットできそうだ。

 

では、ごはんはどうすればいいだろう。

 

僕はずっと魚ばかり食べるのはごめんだ。

 

人間の健康維持のためには、肉も野菜も摂らないと不健康になってしまうので、定期的に陸へ上がる必要がありそうだ。

 

そういや、最近読んだ記事でどこかの国の優秀なIT人材は船の上で暮らしているらしい。

 

船舶は莫大なコストがかかるが、複数人で住めば安く済むらしい。

 

ちょっと何の話をしているか言っているかわからなくなってきた。

 

ここまで書いておいていうのもアレだが、実際に海賊になることは不可能に近い。

 

実在する海賊で有名なのは、いろいろな作品に登場する「黒ヒゲ」だ。

 

この人は本当にカリブ海にいたらしい。

 

この写真を見てもらえばわかるが、イラストなのに異様に怖い。

 

そもそも僕には剣を振り回したり、鉄砲を撃つスキルも何も無いので、諦めた方が良さそうだ。

 

ここまで期待させておいて、なんのオチもなくて申し訳ない。

 

◾️現代の海賊

 

現代のインターネット社会はたくさんの情報に満ち溢れていて、まるで大海原のようだ。

 

どうやら、現代にも海賊はいるようだ。

 

彼らは毎朝ネクタイを締め、カバンを振り回しながら電車に乗り、髪の毛をジェルでしっかり固めて戦に繰り出す。

 

そう、僕らは海賊なのだ。

 

40年以上にも渡る社会人は冒険だ。

 

楽しまないと損である。

 

本物の海賊と比べると自由度は低いけど、普通にやり過ごしていれば酒も女も困ることはないだろう。

 

僕らは毎日ストレス社会で窮屈な思いをするし、楽しいことも辛いこともある。

 

それでも自分は間違ってないと信じて進むしかない。


きっと、この先の浮き沈みも歌えば楽しい。

 

ヨーホーヨーホー…